対女性社不

 1か月ぶりかな。自称社不こと俺が、社会人になってから早2か月。主に人間関係に焦点を当てた進捗報告をする。無論、このブログに帰ってきたってことだから朗報は期待しないでくれ。

 

 まず会社。現在の俺の生命維持装置。思いのほか順調。大企業の新卒でじっくり育成されてるから、今はまだ困難なんてない。周りの人間も善良な人しかいない。もっとも、俺がもっと残業なりプロジェクトなりに参加するようになれば別の景色も見えるのかもしれないが。

 同期。現状は友達みたいなもん。適当な世間話をする仲。本心を話せないストレスに苛まれるかと思っていたが、思いのほか何も感じない。そもそも、会社にいるうちは私的なことを考える暇がない。なんとうか、会社用の人格みたいなものが自分を動かしている。要は外面だ。帰路の中で少しづつ私としての自分と入れ替わっていくような感覚。そんなんだから、俺が生の感情を出して同期と人付き合いすることは少ない。

 ノンストレスの原因は感情を抑えることが常態化しただけではない。住み分けが行われている。これは大量採用の力業ともいえるが、みな自分に合う人間の方へ行くような指向性のままに集団形成している。正確には合わない相手や集団を避ける性質。これに従って行動している間はストレスを感じない。こと俺においても、まだ周りの人達からそこまで嫌われていないからなんとか混ざらせてもらってる。そして俺自身もそこそこ居心地がいい。

 ただ、一つだけショックだったことがある。俺と相部屋の同居人の両方とよく遊んでいた同期から、俺だけ飯に誘われなくなったこと。客観的に見れば座標が4象限あるのと同じく、自分が相手に避けられる可能性があることは理解できる。ただ、俺は感情の人間だ。一方的に避けられるのは悲しい。

 

 

 次が本題。女…じゃなくて女性。もう俺が求愛ダンスをアプリケーション上で踊り始めてから1か月と少し経つ。そしてまだ踊っている。

 3人と会った。2回目なんてなかった。チャットも続かなくなっていった。メッセージだけ続いて会えなかったのはもう3人。マッチング率が低いから、1か月でこんくらい。周りの友達や自分より遅く始めた知り合いが凄まじいスピードで成功しているのを見ると焦る。みんなが終わっている図形の問題をいつになっても解けないのと同じような焦り。絶対的な速度と過去の自分との相対的速度。以前よりもできなくなっている。

 アプリの仕様によって、登録したばかりの人間は相手から優先的にみられるようになっている。一方、もう1か月も経過した俺は初心者マークも外れていわば路傍の石だ。何も調べずにウケ狙いで書いていたプロフィールの方が、何度も書き換えて服装も表情も髪型も意識した今のものよりマッチしているとはね。馬がトラックをどれだけ速く走ろうとも、JRAの手のひらの上なのと同じく、アプリ内において個人の努力に大して意味はないのかもしれない。

 

 もっと見た目に金と時間をかけて、笑顔の練習も増やして、ウケの良い会話の練習を重ねれば、誰かしらが求愛の踊りに足を止めてくれるかもしれない。そんなことを考えて俺は今月も僅かな給料から服と散髪と髭脱毛と化粧品に金を割いている。

 …書いていて恥ずかしくなった。服と髪と顔に金を使うのは当たり前だから。この世で女に愛されたことのある人間なら誰しも…とまではいかないが、意識的に好かれようとしている人間はまず間違いなく容姿を磨く。そんな中俺はとことんケチだから必要経費すら努力扱いしてしまっている。お洒落という貴族の文化を真似しようとしてるんだから、貧困に耐える覚悟を持てよ。

 

 まあ、見た目はいいのよ。継続して努力すれば大なり小なりの対価が得られるから。問題は性格なんだよね。まあ、こんなブログ書いてる人間が誰かに選ばれるのかって話。当人の俺ですらこんな矮小な人間をパートナーにしたくはない。だから俺は馬鹿でポジティブで些細なことを気にしない性格を装っているが、その節々から出る嫌な臭いが鼻を抜けているのだろう。

 というか、戦略自体が俺の性格を物語っているんだよね。演技し続けられないのはわかってるのに、本心を隠そうとする。本当は大好きだから変えるつもりすらないのに。

 正直、こんなやり方をしているあたり「着飾って演技すれば食いつかれるやろ」っていう釣り気分だから向こうから好かれないのもわかるんだよなあ…。

 

 

 じゃあ、どうすれば好かれるんだろうなって話。素の自分を受け入れてくれる人間と出会う確率を探すのが正攻法ではあるが…簡単に見つかってれば苦労してねえんだよなあ。それはこんな内面になってしまった運命。遺伝と環境のせいとはいえ、意志で捻じ曲げられていない自分にも問題がある。

 よく周りの人間は「たまたま自分に合う人がいて~」とか「自分も運が良くて~」なんて言っているが、その実彼らは理性とか自信とか社交性等の雄たらしめるスペックを素で持ち合わせている。みんなすげえんだよ、まじで。

 

 俺は彼らのような孔雀の羽根は一枚たりとも持ち合わせていない。きったない羽根に絵の具を塗っているだけ。踊っている間にはらはら落ちちゃってさ、結局はいつもの俺が露呈してオワオワリ。それでも、演技しなければ目にも留まってくれないから俺は今日も羽根を貼り直して踊り続ける。素を好いてもらうために演技を続けるなんて変な話だけどさ。

 

 

 ほんと、生まれてこの方女に一度も愛されたことのない人間は本当にみじめだねえ。自分で読み返しても「頑張ってるのに!」って駄々しか聞こえてこない。そう、今日言いたかったことはそれだけ。