マチアプ頑張ってる人が消えた

 まずは雑談から。最近は修論の締め切りが迫ってきているから足しげく学校に通って、論文の素を作ってる。データってやつね。他の同期はもう論文に着手しているというのに俺は…。まあ、締め切りに間に合えばOK。いや、こっから70ページも論文書くのなんてイメージできねえんだよなあ。唸るか俺の文才。耐えられるか俺の根性。とりあえずは来週中間発表お披露目会があるので、それ次第やね。

 

 

 

 本題。今日は他人のこと。俺自身にも関係あるんだけど、他人同士のいざこざで心が動いた。いつもは第三者になって感情的になるタイプではないんだけどね。典型的な創作物で涙を流さないタイプ。でも、今回は特別。

 

 俺がフォローしていた人がアカウントを消した。なんだ、よくある話じゃん。彼はアニメアイコンの人間。まあ、注視しなければ他のアニメアイコンと区別がつかないような人だった。呟くことも特別面白くもない…と思っていたのだが、ある時期を境に面白くなってきた。彼がマッチングアプリを始めたのだ。

 元々彼は公開上ではどこかの大学の博士を出て働いているエリート。だが女に縁はなかった。理系ってのはまあそういう世界だから無理もない。ガツガツしていない人であればこうなるのも仕方ない。俺もそのうちの1人なので、共感する。

 そんな彼がマッチングアプリでツガイを探そうと努力している様子がツイートという形で実況配信される日々が続いた。俺はそれを応援したくて彼をフォローすることにした。

 彼がマッチングアプリを始めてすぐは、ネット上でよく聞くような「やっぱマチアプはクソだな」話をしていた。男だけ有料とか、女の話がつまらねえとか、待ち合わせに来ないとか、急にブロックするとか、聞いているだけでゲボが出そうになる。そんな地獄を彼は経験していた。

 しかし、3か月程経ってからだろうか、状況が好転した。お洒落修行やプロフィール画面の改造を重ねた後に彼は人並みの結果を得られるようになっていた。連絡を取り合う女が何人かいて、ちょこちょこ会ったりしていた。そして、ついに彼はマチアプで彼女なるものを作ることに成功した。

 俺は古参でもなんでもなかったから何も言えなかったが、その日はもう宴だった。血のにじむ努力を重ねて遂に勝ち取ったのだ、祝ってしかるべきだろう。俺もその時は安心した。地道な努力を重ねることが成功につながると彼が証明したのだ。

 

 しかし、そんな安寧も長くは続かなかった。付き合ってからも地獄だったのだ。付き合っているというステータスこそあるものの、女側は違う男達とアプリでやり取りを続けていたり、そんな天秤にかけた状態をやめるよう言い合いになったり。彼のツイートからはそんなことがうかがえた。

 

 そんなギクシャクした関係は1か月も持たなかった。さんざん弄ばれて疲弊して別れて終わり。そこから彼は壊れた。これまで生きてきた中でモテてこなかったという事実と、マチアプでさんざん飲まされてきた苦汁。極めつけは付き合うとは名ばかりの冷戦。蓄積されたストレスが爆発して、彼は女を憎むようになった。と言っても「コレだから女は…」とか「これだからマチアプは…」といった旨のツイートが多くなったというだけだが。

 

 そして、今日彼のアカウントが消えたことを確認した。何かあったのだろうか。他の人にツイッター上で絡まれたのか、それとも現在の生活に嫌気が差したのか。一フォロワーである俺には何もわからない。1人のマチアプ戦士が姿を消した。それだけだ。

 

 

 これだけなら「あの人頑張ってたのに…悲しいなあ…」だけで終わるのだが、俺の感情を動かしたのは別の人物だった。

 

 どこからともなく現れたツイート。本文ママを移すのは面倒なので要旨だけ。

「最近マチアプ頑張ってるつもりになって、上手くいかないとブツブツ文句言ってたオタクが消えた。目障りだったから嬉しい」

 こんな感じ。ちなみにこのアカウント主は女。アニメアイコンだが、まあ普通に彼氏とかもいる健常者。モジョとかそういう類の人物ではない…はず。その人の主観(ツイート)を客観的に見た感想だから何とも言えんけど彼氏おるなら勝ち組やろ(適当)。

 

 

 俺は最初このツイートを見たときにブチ切れそうになった。

「お前にあの人の何がわかるんだよ」って言いたくなった。自分と似た境遇(勝手な思い込みだけど)の人間が努力を重ねてて、それを馬鹿にされたからキレるのはまあおかしくはないと思う。ちょい感情的だし他人を自分と同一視してんのがキツいけど。

 

 落ち着いて考えれば、この女の人にも部は十分にある。いなくなった彼はマチアプで女に酷い扱いを受けたときに愚痴をこぼしていた。その時の対象語は「マチアプにいる女/若い女」と一括りにされていた。当然それは彼女にもドンピシャであり、ひとまとめに否定されたのと同じなんだから不快に思うはず。そんなことが続いていたら、そりゃ彼の言っていることが客観的に正しくても嫌に思うだろう。誰だって否定されるのは嫌だ。仮にその内容がどれだけ当てはまっていても。そして感情のママに動けば、否定してくる奴なんて大嫌いになる。だから彼女は彼を嫌っていた。少なくとも理屈から言えるのはこんなもん。

 

 次に彼女のフラストレーションがたまる要因の推測として、相手の立場や気持ちがわかっていないということがあるのかもしれない。相手のことを知らず、自分の物差しで考えているから相手のことが嫌になる。これは彼にも彼女にも言えることだ。

 マチアプは男と女では全然の別ゲーだ。そして、容姿の良し悪しでさらに二分される。ここら辺の説明は既にさんざんインターネットでされているから、詳しく知りたいならググってくれ。面倒だけど軽く説明するか。一応それを基にブツクサ言うわけだし。

 基本的にマチアプは「女が受け」であるという大前提がある。男の容姿がどうであれ女の容姿がどうであれ、男側が女側にいいねボタンを押すなり簡単なDMを送るのアプローチをして初めてゲームが始まる。つまり、女側は何かしらの反応が来ることでゲームが始まる。そして、DMを重ねていって…となるわけだ。

 ここで、男側と女側でしているゲームの違いになるのだが、男側は釣りゲームをしている感覚だ。とりあえず気に入った女にいいね押したりDMを送ったりする。んで、DMが続けば釣れたってコト。まあ正確にはここから本番の恋愛ゲームが始まって押し引きなり選択なり考えて動くようになるんだけど。

 逆に女側から見たマチアプはポケモンのようなものだ。草むらで待機していれば勝手に野生のポケモンがやってくる。ビジュアルが悪ければコラッタに見えるし、イケメンならドラゴンタイプに見える。そして、無限湧きしてくるポケモンから旅のお供を選ぶ。無限に湧いてくるから6匹まで選べる。そこからDMやデートといったイベントを経てパーティーメンバーを入れ替える。この感覚はね、オニドリルがあんま強くないことわかったからやっぱギャラドスと入れ替えるわって感じ。仮にパーティーのメンバーが逃げ出したりしても、補充はカンタンだから気にしないでOK。君だけのパーティーポケモンリーグ(お付き合い)を目指そう!もちろん殿堂入り後もキープできるぞ!(浮気っつーかキープ)

 

 もう男目線で見たマチアプがいかにクソかってのは重々承知だと思うんで、女側からみたらどうなのかってのを詳しく書く。もちろん俺は男だから、どこかで訊き齧ったことをかみ砕いて書くだけだからね。

 

 上記した通り若い女はマチアプでモテモテです。そして若い女は大体暇です(というか自分の時間メチャ使ってやることがそんなにない)。それか働きすぎでドチャクソに忙しいかの2つに1つってのが経験則。そりゃあさ、片っ端からアプローチ来る無限承認欲求満たしアプリがあればずっとやるよね。仮に付き合いが始まったとしても、暇な時間はずっとアプリやるだろう。常にいくつかの相手とやり取りしているのであればチャットや付き合いが雑になっても仕方ないよね。以上。

 

 

 

 男女両方の視点で考えたけど、やっぱマチアプは蟲毒だ。男を女性不信にするし、女を付け上がらせる(女側もイケメンに振り回されたりするんだろうけど)。こんな地獄システムを作った人はきっと悪の科学者だ。というか女側も有料にせいやボケ。構図は仕方ないけどそれだけはおかしいだろ。はあ。

 

 

 なんというかもう悲しい。そう遠くないうちに俺もこの沼に入ることになるのだから恐れもある。俺はこのアプリが…憎い! というかもっと面白くなんねえかなあ。