嘘語という言語

 まずは本題と無関係の報告から。前の週末に友達と会って遊んできた。遊びの内容は麻雀と食事。麻雀は、面子のレベルが結構高かったからガチガチに緊張してプレイもメンタルも不調。そのせいで「あ、これ雰囲気悪くしてもうた…」ってなったけど、食事の頃にはなんとか雰囲気も良くなった(って思いたい)。結論。笑顔が大事。…それにしてもみんな大人っぽくなってたなあ。

 

 

 本題。上記の遊びの後、友達とyoutubeで外人オッサンのキャンプ動画を見てたのよ。普段俺はそういう動画を見ないから、粗野だけど丁寧にBBQをしているオッサンの姿を見て「こういう暮らし憧れるなあ」なんてつぶやいてたんだよね。

 すると友達が「コレ、嘘だよ」って。えっ?コレ嘘なの? 確かにオッサンが無造作に撮影しているにしては画質もアングルも良すぎるし、何より「登録&高評価お願いします」のポップアップが一定間隔で画面上に浮かんでくるとも思えない。観察眼を凝らせば嘘だと分かった。実際、こういう動画はたくさんのスタッフとお金を使って製作されているらしい。旅番組に近い感じか。

 このことから、どうやら俺には嘘を嘘だと見抜く能力もといリテラシーが欠如しているのではないかと思うようになった。確かに、がっかりするようなことが多いということは色々期待しすぎているのかもしれない。勝手に期待して裏切られてがっかりっていういつもの流れ。

 

 じゃあ期待って具体的に何よ。思い返せばあちこちに散らばってた。

・誰にでも愛想のいいイケメン君や女の子

・話を聞く後輩

・褒める人

 こういうのこういうの。こんな話してたら「いや、こういう善良な人もいるでしょ」って返ってきそう。ホントそれ。というか、コレを「嘘ついてんだろ」って見るようであれば世の中の99.9%を疑わなければならない。流石にきつくね。でも悲しいかな。嘘であるケースも多い。なぜなら、演じることで有利になるから。自分が有利になる嘘はつくでしょって話。

 

 どのように嘘かどうか判別するか?嘘語リテラシーの軸は「目的」だと俺は考えている。相手の目的を推察して、言動や行動、態度までの道のりをたどる。流石に「目の前のこの人はとってもいい人だから」と考えるのは逆に相手のことを軽んじているまである。それに何より、どんな人であれ前向きな態度というのは常に作為的であるから。これは前から言っているのだが、人間の性は基本的に悪というか自己中心であり損得勘定で動いている。だから、己が損をするような勘定を相手が示したときは要注意ってコト。何かしらの目的意図が働いてんのよ。

 さっきの箇条書きにした例は、安直に見ればどれも点数稼ぎ狙いだ。ポイント稼ぎご苦労様って感じ。俺も見習わなきゃな。

 

 次に、もう一つ軸を追加する。それは「相対」だ。これは友達から教えてもらった。

 自分に対する態度と周りに対する態度、そして相手が特別仲のいい人に見せる態度を比べて、どう思われているか等を察するのだ。それによって、相手が示す態度が作為的かどうかがわかる。さっきの箇条書きの例で言えば、誰にでも愛想のいい人が自分に見せる愛想の良さは嘘ってわかる。これはとっても簡単なケースなので実践には使えないかも。

  

 …とまあ嘘語を検出することについて書いたのだが、肝心なことは嘘を見抜くことの先にある。自分も嘘語を喋れなくてはならないということだ。

愛想のいい相手に内心「演技おつかれさまでーす」って思いながらも、自分も愛想のいい嘘をつくのが基本のABC。挨拶レベル。まるで役者だな。

 こういう挨拶から始まる嘘語を喋れるようにならないと、相手の嘘を全部鵜呑みしてしまって脳内お花畑の人間ができたり、一人だけ本音情報漏らして不利になったりしてしまう(相手は嘘語を喋っているので距離は縮まりません)。相手が嘘語を喋っているのであれば、自分も嘘語を喋って体のいいキャラを演じるのが正着だ。本音語を喋りたい人間にとってはもどかしいかな。

 

 以上。嘘を認識することも嘘をつくことも、嘘まみれになることで生じるストレスを軽減させることもできなければ社会生活は辛い。つくづくハイコンテキストな社会だ。

 

 

 

 

 ここからは自分語り100%。客観置いてけぼり。

 はあ。カス。なーにが嘘語だよ。こんな言葉ばっか使ってっから生産性低いんだよこの国は。いや、外国もこれくらいのコミュニケーションは取ってるかもしれんが。

 てかいい加減「嘘語で話すこと」にストレス感じるのやめたいな。縮まらない距離、得られない情報...口開くだけで不毛だ。そして目の前の相手を常に疑っている自分にもイラつく。こんなことしてて本当に仲良くなれるわけがないのに。というか親交って信頼関係のことなんじゃないの?嘘ばっかでよく構築できるな。嘘語で構築した人間関係って「お互い善人キャラ演じて味方しあいましょう」っていう条件付き・代償付きの味方じゃん。アレか。第三者の敵が現れた時に協力する展開か。現実世界でよくそんな疲れるゲームできんね君ら。

 

 嘘の国で暮らして嘘語を喋る人々と、俺みたいなガイジは根本の脳の構造が違うんだよなあ。演じることに何もストレス感じてない上に充足感まで得てるのが嘘国民。こういう人間がごまんといるって考えると、さながら海外移住だな。嘘語嫌いだけど話せるように頑張るよ。