市営住宅を見ると安心する

 よく行く役所の支所の隣に、交流センターなるものがある。図書館カフェと体育館が1F にあり、2Fにはジジババの交流スペースと託児所がある。3Fには貸し出し用スペースとテラスがある。

 俺はいつも役所に行くついでに交流センターに足を運ぶ。図書館カフェに腰を掛けようとしても、駐車場の無料駐車時間である2時間を優に超えそうだから遠慮している。…ということは、ここにいる人達はおおむね2時間もいるつもりのない人達または車を持たない人達と言うことになる。だから学生が多いのかな。

 図書館に居られないため、施設をウロウロした後いつもこの施設を出る。その時、テラスにも寄るようにしている。テラスといっても眺望がとりわけいいわけではない。ただの3階から見る景色だし。ただ、高いビルやタワーから見下ろす点の集まりの街を見るときとは違ったものが感じられる。テラスの案内には「近所で名物の山が見られるテラス」と書かれているものの、どちらかと言うと手前に見える市営住宅の方が大きく見える。ぐるっと周囲を見渡しても、近くに広がるのはたくさんの住宅といくつかの店。大通りにとそれに面する大きな店はもっと遠くにある。正直景観としては微妙だが、俺はこの景色がかなり好きだ。幸せそうに生きている感じがするから。

 過疎化が進んでいて経済も落ち込んでいるけど、目の前の住宅からはその暗さを感じない。マクロな問題があまり個々人の生活に影響を及ぼすってものでもないのかな、そう思って安心できる。なんかネットやテレビで俺達弱者男性を対象にグチグチ言われて滅入るが、そんなのが気になんなくなる気がする。一時的だけど。

 ついでに言うと、市営住宅なのに駐車場の車が奴隷労働所に奴隷を運ぶトロッコみたいな軽自動車ではなく、セダンやSUV、ミニバンが多かったのが嬉しかった。生活が辛かったらまず手を出せないジャンルの車たちだ。よかった。市営住宅でも幸せに生きれるじゃん。上場企業に就職できなかったら、生涯手取り13万限界奴隷かと思っていたから安心した。さすがにこれは俺の取り越し苦労だろうけど。

 市営住宅に住むことになっても幸せになれそう、そう思ったら安心した。

 ちなみに、子供を全て公立で卒業させても3000万かかるらしい。ここらへんに住む人達もそれに備えて働いて稼いで貯金していると思うと尊敬だ。