後輩が詐欺に巻き込まれる、の巻

 太字までスキップ推奨。

 こんにちは。今日は裁判所と眼科に行った。裁判所には裁判の傍聴に、眼科にはコンタクトを買いに。「裁判の傍聴楽しい」と5chのまとめに書いてあるのを朝読んですぐに裁判所に向かったが、今日は破産手続きしかやっていないということで追い返された。次の月曜日に刑事事件の裁判があるらしいので、出直してみる。不景気というか平和というか、田舎って感じだ。

 学校には行ってない。テレワークという扱いで家でシコシコ流体力学の勉強をしていた。が、もう一区切りついた。今までやってたナビエストークスとか乱流とかレイノルズとかの原始的な流体力学はもう多分勉強しなくてよくて、今度はPCにさせる数値計算手法だ。新しい勉強分野はとっつきにくいが、覚悟して分厚い教科書を開こう。それにしても研究の進捗がまだ0だ。大学院生と言えども暇な時期は暇なんだな。

 

情報商材ってやつ

 知り合って3か月になる後輩が詐欺に巻き込まれているということが発覚した。いや、2か月前に彼と僕の共通の知り合いから聞かされていた。本人の言質が取れたのがつい最近という訳だ。

 カミングアウトされたのは先日5,6人でやった飲み会。当人が口を滑らせてその話題になり、当人を酔っ払い5人で囲んで目を覚まさせるという構図になった。酔っ払い軍団の言っていることはまっとうな説得だったが、当後輩は聞く耳を持たずに適当な返答をして効果いまひとつに感じられた。説得を諦めた俺達酔っ払い軍団は喫煙所で反省会をした。

「何かちゃんと聞いてくれなかったなアイツ」

「ああいうのって信じ込むとどうやっても無理らしいし」

「だます側って話術が滅茶苦茶うまいからな」

 これは後から聞いた話だが、俺たちが後輩に「絶対に行くな」と止めた飲み会翌日のセミナー、彼は参加していたみたいだ。飲み会の場では「絶対行かないよ」と言っていたのだが。

 

救いようがない

 詐欺に騙された人間ってのはどうしようもなく揺らぎない。調べたところ、「認証バイアス」という信じたものをより信じようとする機能が大きく働いているからだ。詐欺師の話術が巧みなのも詐欺が横行する理由だ。詐欺というものは相手を共感させ、心理機能を使って嵌め込むものだから誰もが引っかかりうる。さすが有史始まって以来ずっと続いているライフワークである。

 

引っかかりやすい特徴

 自分が調べた諸々のサイトでは引っかかりやすい人格的特徴が挙げられていたが、俺は今まで会ってきたカモに共通する、もっと別の特徴があると思っている。あくまでも見てきたのは学生だけだが。

 まず、引っかかっているのは大抵情報商材系だ。言い換えればマルチだ。セミナーに参加するのが入口で、情報商材に金を支払うのが第一の被害、周りを巻き込むのが第二の被害だ。

 情報商材は金儲けをするための情報を売る。どの商材も哲学や資本論なんかの情報を売ってはいない。ギャンブルに勝つ方法、投資で儲けるAIを組む方法、といったものだ。

 じゃあ、こんなものに誰が引っかかるのか。まず、金が欲しい奴だ。これが一番大きい特徴。現在の生活レベルに満足がいかない欲深い人間、金銭面で不安になっている人間。そもそも金欠な人間。金に困った人間が幻想に目がくらむ。悲しいことに、片親に学費を払ってもらっていて金銭面が心配になっているような苦学生が引っかかったりするのだ。

 ただ金が欲しい強欲な人間も十分に引っかかりやすいが、もっと引っかかりやすくなる要素がある。それが金欠によるコンプレックスだ。周りと比べて金銭的に劣っている場合にコンプレックスが発動する。「アイツらはバイトせずに遊んでるのに、こっちは週5でバイトしてやっとだぞ」と思うともうけ話に耳が傾くのは仕方ない。そしてこのコンプレックスは自分に対する自信、すなわち自尊心が強くなるほど強くなる。「俺は優秀なはずなのに」という意識が高くなればなるほど、理想と現実の差が開いてしまい、それこそギャンブル大成功でしか勝てなくなる。週5でバイトをしていてもコンプレックスは広がるばかりだから、うまい話を信じたくなるのも分かる。そして、悩みというのは心の弱みだからつけこまれやすい。

 そして、個人的にこういうコンプレックスを抱えた人間は「周囲より優れたい」という欲があるから、周りがやっていないであろう情報商材を中々抜け出してくれない。

 

 まとめると、金欠とコンプレックスと自尊心。これが俺の思う、特に引っかかる特徴だ。

 

最後に

 何かが辛いから何かを信じたくなる。これは宗教と同じかもしれない。詐欺に騙される人間の気持ちは少しだけわかる。俺もサークルの仕事が辛かった時、サークルの姫というある種詐欺に引っかかっていた人間だ。次はもっとマトモなものを信じたい。

 

P.s. みんなが件の後輩を説得しようとしたとき、後輩君は一度として「もうやらない」と言ってくれなかったことを思い出した。周りの言う「お前のしてることヤバイんだぞ」という旨の言葉をただ「本当にやばいんだね」と誇張して復唱するだけで、会話の歯車はかみ合っていなかった。正論で人を動かせない癖に心理を掴む詐術に動かされているのは悔しかったな。 

  あと、後輩君に対する信頼がなくなるのが残念だ。金を詐欺に盗られたとなると「簡単な詐術に騙される奴(実際は騙されるときは騙されるものなんだけど)」「こいつ金管理できないバカ」という烙印が押されてしまうからだ。まあ、彼は以前から貰う金は計算高いのに、渡す金にルーズという具合だったから信頼度は元々か。そういう人でも、そういう人こそ引っかかるのは怖いね。